パワハラ告発文の書き方とは?会社へ伝わるポイントをまとめて解説

パワハラ
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パワハラ(パワーハラスメント)は、職場における優位な立場を利用して行われるいじめ・嫌がらせ行為で、被害者の心身をひどく疲弊させ、休職や退職、過労死に追い込むこともある重大な問題です。

被害者本人や社内でパワハラが行われている環境で働いていると、「内部告発をしてパワハラを止めさせたい」と考えることもあるでしょう。

この記事では、パワハラ行為者や会社を告発したいと考えている人に向けて、パワハラ告発文の書き方や提出方法など、告発する前に知っておくべき情報をお伝えします

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パワハラの告発方法について、より具体的に知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

パワハラ内部告発の文例書式

○○株式会社
代表取締役○○○○殿

令和○年○月○日
○○県○○市○○番地
○○部○○課 ○○○○印

パワハラの被害申告およびパワハラの即時中止に関する申し入れ書

私は◯◯部に配属されておりますが、上司である◯◯氏から、ことあるごとに◯◯◯や◯◯◯といった本来の業務の範疇を超えたパワーハラスメント行為を継続的に受けています。

このようなパワハラ行為が今後も継続すると、業務の遂行がスムーズでなくなるだけでなく、心身の疲労により健康面にも悪影響を及ぼします。

つきましては、◯◯部の◯◯氏に対し、適切な指導と管理をされるよう要求致します。このパワハラ行為は、本年◯月頃より下記にあげるパワハラの行為を受けています。

1.業務の中でミスをすると、蹴りを入れてきたり物を投げつけてくる
2.同僚の前で「給料泥棒」「早く辞めてしまえ」など心ない言葉をぶつけられる
3.人格を否定する内容のメールやLINEを送りつけてくる
4.職場で挨拶をしても自分だけ無視される
5.その他のパワハラ行為

以上

※表題は「要望書」としても良いでしょう。

※加害者の異動を求める場合は、以下のような文面が考えられます。

(例)「つきましては、◯◯部の◯◯氏を他の部署へ異動させ、就業環境を改善されるよう要求いたします。」

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パワハラは上司から部下の関係性に限ったものではありません。同僚間や部下から上司であっても優位な関係を背景としている場合は、パワハラだとみなされます。

文書の内容は基本的に変わらないので、役職やパワハラの内容などに合わせて文章を時折変更してご利用ください。

パワハラ告発文の書き方ポイント

パワハラの告発文を書く時は、いくつかポイントがありますのでご紹介します。

  • パワハラに遭ったらまずは証拠を集めよう!
  • 宛先は代表取締役
  • パワハラ行為の具体的な時期なども記入する

告発の失敗を回避するためにも、それぞれのポイントを踏まえた上で、実際に告発文を書くようにしましょう。

パワハラに遭ったらまずは証拠を集めよう

「パワハラを受けた」といくら主張したとしても、明確な証拠がなければパワハラを実証することはできません。

パワハラの告発は、必ず明確な証拠を集めた上で行いましょう。

【パワハラの証拠となるもの】

・ボイスレコーダーやスマホでの録音データ
・写真や動画
・メールやLINEでのやりとり
・SNSの発信
・業務日誌や日記
・医師に診断書
・同僚の証言

暴言や暴力などパワハラ的な言動を録音データや写真、動画で残すと、分かりやすくて有力な証拠となります。殴る蹴るなどの身体的な攻撃を受けた場合は、負傷した箇所を撮影しておいてください。

パワハラと思われる内容のメールやLINEを受けとったら、そちらも必ず残しておきましょう。TwitterなどSNSでの発信も、発信者を特定しやすいためパワハラの証拠となります。消されてしまう前に、スクショして残しておくことをおすすめします。

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写真や動画などで証拠を残すのが難しい場合は、業務日誌や日記が証拠となる場合もあります。記録を付ける時は、被害に遭った日時やパワハラの具体的な内容がわかるように記しておきましょう。パワハラの証拠の集め方も参考にしてください。

宛先は社長や代表取締役

パワハラの告発文を社内に送りつける場合の宛先は、社長や代表取締役にするのが一般的です。場合によっては、支店長、所長、工場長宛などのケースもあります。

具体的な時期なども記入する

パワハラを訴える時は、ただ「〇〇された」などと記入するのではなく「5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように」を明記しておきましょう。事実確認が取れる内容を交えるのもポイントです。

また、告発することによって、どのように変化して欲しいのか希望も併せて記載しておきましょう。

社内へのパワハラ告発文の提出方法

社内にパワハラの実態を報告する文書を提出する場合、実名で行うのが基本ですが、匿名で行うこともあります。

匿名と実名、それぞれの告発文の提出方法について解説します。

匿名の場合

【匿名で告発する場合の注意点】

  • 社内の相談窓口は通さない
  • 社内用メールアドレスは身バレする
  • ログインが必要なアンケートでは告発しない
  • パソコンで入力し印刷して郵送する
  • 内容証明や特定記録で郵送する

匿名で告発する場合、社内の人事や相談窓口に足を運んでしまうと、確実に身バレしてしまうので、面談は避けておきましょう

社員用のメールアドレスでの告発も、告発者が特定されてしまうため避けた方が無難です。またログインが必要な社内のパワハラアンケートなどで告発するのも、自分のIDやパスワードでバレてしまうため、おすすめできません。

告発文は自宅など社外のパソコンで入力し、プリンタで印刷して封筒に入れて、会社の相談窓口や人事宛の手紙として、自宅から離れた場所のポストに投函してください。

自宅近くからだと、消印でどこから発送されたのか特定されてしまうため、念のため自宅からは離れた場所から郵送するのがベターです。

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会社にパワハラを相談した証拠として残しておくために、告発文書のコピーを取り、普通郵便ではなく、内容証明や特定記録で郵送するようにしてください。

実名の場合

実名で告発する場合は、証拠を持参して社内の相談窓口や人事まで直接赴いて報告・相談しても良いですし、書面で送付することも可能です。

2020年6月1日からパワハラ法が施行(中小企業は2022年4月1日から)したことにより、企業にはパワハラの相談窓口を設け、適切に対応する義務があります。

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会社に相談することで、パワハラ行為者か相談者のどちらかを異動させるなど、対応してもらえる可能性があります。

パワハラを告発する手順(社内外)

社内に限らす、パワハラを内部告発する手順をご紹介します。告発を社内に留めておきたい、社外にも告発したいなど、希望や状況に応じて行ってください。

基本的な流れは、下記のとおりです。

  • パワハラの証拠を集める
  • 会社にパワハラの報告・相談をする
  • パワハラの実態を労働局に報告・相談する
  • 弁護士に相談する

パワハラの証拠を集める

記事の中ですでにお伝えしているとおり、パワハラを告発する場合は、明確な証拠を押さえておくことが大切です。

パワハラの実態が分かりやすい音声や動画、写真で証拠を残しておくと有力な証拠となります。最近はペン型のボイスレコーダーなども登場しているので、相手にバレることなく証拠を残せますよ。

会社にパワハラの報告・相談をする

パワハラの証拠を集めたら、告発文を作成し郵送するか、会社の相談窓口や人事部に赴きパワハラの報告・相談をします。

匿名か実名で告発するかによって、対応方法を選択しましょう。

パワハラの実態を労働局に報告・相談する

パワハラの事実を会社に相談したのにも関わらず、パワハラ被害が解決しそうになかったり、取り合ってすらもらえない場合は、パワハラを管轄の労働局に相談することを考えましょう

労働局には総合労働相談コーナーが設置されており、パワハラやセクハラなどあらゆるハラスメント問題に関する相談を受け付けています。相談は面談もしくは電話で対応してもらえます。

もしパワハラによってうつ病などを発症した場合は、証拠と医師の診断書を持参すれば労災で治療費が補償される可能性もあります。

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総合労働相談コーナーへの会社に対して働きかけをする場合は、相談したことがバレる可能性もありますが、相談者のプライバシーの保護に配慮した相談対応をしているので、安心して利用できます。

弁護士に相談する

労働局に相談しても思うようにパワハラが改善されない、パワハラにより退職に追い込まれたという場合は、弁護士に相談して法的に訴えることを考えてください。

パワハラを行った加害者は、被害者に対して責任を負うことになります。パワハラが原因で精神疾患にかかり働けなくなってしまったり、退職に追い込まれた場合は、裁判など法的に訴えることにより損害賠償請求・慰謝料請求ができる可能性があります。

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弁護士にパワハラの相談をする場合は、パワハラやセクハラ、モラハラなどハラスメント問題や労働問題に詳しいこと、自宅から近くて相談しやすいこと、性格的な相性などを考慮して選択しましょう。

「弁護士 パワハラ」などとネット検索をすると、弁護士事務所のサイトが出てきます。

マスコミへの内部告発は基本的にNG!

上司や同僚などにいじめや嫌がらせなどパワハラを受けてきた場合、苦痛と屈辱心のあまり「仕返ししてやりたい」と考える人も多いと思います。

つい感情に任せてマスコミの記者に告発したり、インターネットの掲示板などに書き込んでしまうと内容によっては、名誉毀損になり訴訟されかねません。

そして会社に告発した事実がバレてしまうと、社内や部署の人間関係が悪化して居場所がなくなってしまったり、降格や解雇処分されてしまう可能性も十分にあります。

個人でマスコミやインターネットで社内の情報を漏らすことは、危険な行為です。安易にマスコミやインターネットを使って告発しないように注意しておきましょう。

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労働局や弁護士以外にも、社外の相談窓口は多数存在します。安心して相談できる相談機関を紹介しますので、気になるところがあれば頼ってみてください。

【おすすめのパワハラ相談窓口】

・労働相談センター
・労働条件相談ほっとライン
・みんなの人権110番全国共通人権相談ダイヤル
・かいけつサポート
・法テラス(日本司法支援センター)
・こころの耳

告発されたパワハラ行為者の反省文の書き方・対応

パワハラ行為を被害者自身や周囲の社員などから苦情、報告、届出などが合った場合、告発内容などに基づき、調査や聞き取りが行われます。

その結果、パワハラの事実が認められると、処分の一つとして反省文の提出を求められることがあります。

反省文の提出先は、直属の上司であることが多いでしょう。パワハラの内容が重いものである場合、反省文よりも重い始末書の提出を求められることもあります。始末書の場合の宛先は、社長や代表取締役、支店長などに宛てて提出するケースが一般的です。

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会社でパソコンによる作成が認められている場合や、フォーマットがきまっている場合には、コピー用紙に出力し、氏名の部分のみ自筆で署名をして捺印をします。手書きで全て書く場合は、便箋使用してください。

以下は、部下にパワハラをした場合の例文です。

◯◯部◯◯課
(役職名) ◯◯◯◯様   
令和◯◯年◯◯月◯◯日

◯◯部◯◯課
◯◯◯◯◯◯ 印

反省文

この度は、私の不適切な言動により◯◯氏に大変不愉快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

◯月◯日~◯月◯日の間、数回にわたり威圧的な言動で精神的・肉体的に苦痛を与えてしまいました。誠に申し訳ございませんでした。

本書作成にあたり◯◯氏と話し合い謝罪する機会をいただき、私自身の上司としての在り方や指導法に至らぬ点が多々あったことに気づかされ、どのようなことがパワハラに該当するのかを学ぶことができました。

改めて考えてみると「部下のための指導」「部下を成長させるための指導」だと自分本意な考えで判断して行っていたことが、結果的に◯◯氏に苦痛を与えてしまっていたと深く反省しています。

昨日、人事部立会いの元で◯◯氏に対し、今後は2度と同じ過ちを繰り返さないことを誓い心から謝罪しました。◯◯氏には、多大な迷惑をおかけしたこと、心からお詫び申し上げます。

◯◯氏に対しては、取り返しのつかない過ちを犯してしまいましたが、もう一度やり直しの機会をいただきました。今後は同じ過ちを繰り返さないよう、常に相手の立場に立って考え、細心の注意を払いながら部下や同僚と付き合う所存です。

反省の証として本書を提出いたします。に申し訳ありませんでした。

以上

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謝罪や反省の言葉を並べるだけでなく、どのようなことに対して反省しているのか、具体的に記すようにします。注意すべき点がわかれば、今後同じ過ちを犯さないよう気を付けることができるからです。

パワハラ告発文まとめ

パワハラで告発文を作成する場合は、まずは証拠を集めておくことが大切です。

そして具体的なパワハラの内容や、会社にどのような行動をとって欲しいのかなど、「5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように」を明記します。

会社にパワハラの告発文を提出しても、問題が解決しなかったり、きちんと対応してもらえない場合は、労働局や弁護士など外部への相談・告発も考えて、早期のパワハラ解決を目指しましょう。