会社を辞めることを考えているものの、「上司にどのように伝えたらいいのか分からない」「正直に退職理由を伝えても良いのか」「そもそも退職の流れ全般が分からない…」このように悩まれている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、トラブルにならない退職の切り出し方、退職理由の伝え方、退職の手順について解説します。会社の辞め方はポイントを押さえて、手順通り行えば決して難しいものではありません。ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

この記事では、
- 準備しておきたいこと
- 退職の伝え方
- 会社を辞めるまで
- 退職後
の4つに分けてご説明します。
会社に退職を伝える前の準備

退職すると決めてからは、「今すぐにでも辞めると会社に伝えたい」と突っ走りがちですが、焦りはトラブルの元。
円満退職を叶えるには、退職を申し出る前に準備しておきたいことが3つあります。
- ポイント1.気持ちを整理して退職の意思を固める
- ポイント2.会社の就業規則を確認する
- ポイント3.仕事を辞めるまでのスケジュールを計画する

しっかり準備をしておけば、無駄なトラブルを避けられますし、余裕を持って退職日を迎えられます。
退職は今後の人生を左右する重大な事項です。無計画で突っ走るのではなく、きちんと準備をした上で進めていきましょう。
ポイント1.気持ちを整理して退職の意思を固める
仕事を辞めたいと思ってすぐに動くのは危険です。退職を切り出す前に「なぜ会社を辞めたいのか」「辞める理由」など、自分の気持ちを再確認してみましょう。

辞めたい理由によっては、部署移動、業務内容の見直しなどによって解決できる可能性もあります。
もし退職を悩むという場合は、辞めるタイミングではないのかもしれません。一時的な感情に流されて辞めてしまうと、辞めた後に「退職を早まるんじゃなかった…」と、後悔してしまう可能性も。
そうならないためにも、退職の申し出をする前に自分自身のキャリアプランや仕事観を見つめ直し、辞める意思が固まってから退職に向けて動き出しましょう。
ポイント2.会社の就業規則を確認する

仕事を辞める意思が固まったら、申し出をする前に会社の就業規則を確認しておいてください。就業規則には、退職に関するルールが記載されているからです。
退職の時期などは、「退職する1ヶ月以上前に退職届を提出する」「2ヶ月以上前に所定の書類を提出する」など、会社ごとに決められていることが多いので、早めにチェックしておくことをおすすめします。

法律的には、退職する2週間前までの申し入れで良いとされており、会社の規定よりも法律が優先されます。しかし円満に退職したい場合は、会社のルールに則って手続きを進めましょう。
627条1項 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。
(引用:民法 | 電子政府の総合窓口)

ポイント3.会社を辞めるまでスケジュールを計画する
就業規則を確認したら、会社を辞めるまでのスケジュールを組んでいきましょう。退職日をゴールとし、逆算してスケジュールを立てると余裕を持って進んで行けます。
例えば、会社のルールで「会社を辞める1ヶ月前までに申し出ること」と規定されている場合、1~2ヶ月前に、直属の上司にアポを取り退職の意思を伝えるとスムーズです。
【退職が1ヶ月前までと規定されている企業のスケジュール例】 ・退職の意思を直属の上司に伝える 1〜2月(2ヶ月前くらい) ・退職届を提出する 1〜2月(1ヶ月以上前) ・引き継ぎをする 2~3月(1ヶ月前~当日) ・退職日 3月31日

引継ぎのタイミングで慌ててしまわないように、退職を決意したら、早めにマニュアルやデータを作って引継ぎに用意しておいてください。
会社に退職を伝える適切な方法

いざ退職の意思を表明するとなると、切り出し方から退職理由まで、色々気になることがあると思いますが、以下のポイントを押さえておくと、スムーズに手続きを進められます。
- ポイント1.会社を辞める意思が固まってから伝える
- ポイント2.退職届を提出する前に直属の上司にアポを取る
- ポイント3.退職の1~3ヶ月前に退職の意思を伝える
- ポイント4.会社への不満は伝えない
それぞれのポイントについて、ひとつずつ見ていきましょう。
ポイント1.会社を辞める意思が固まってから伝える
退職の意思表示をするならば、必ず会社を辞める意思が固まってからにしましょう。はっきりしない態度だと、上司や会社の人から引き止めに合う可能性が高まります。
意思が固まらない状態で引き止められると、「やっぱりもう少し頑張るか」など決断が揺らいでしまう可能性も。
当然そのまま仕事を続けることは悪いことではないですが、一度退職の話をしてしまうと、人間関係が少しギクシャクしてしまったり、評価が下がってしまう恐れもあります。

大事なポイントなので何度も繰り返しお伝えしていますが、退職を切り出すのは「意思が固まってから」。退職の意思表明は慎重に行いましょう。
ポイント2.まずは直属の上司にアポを取る
退職を会社に伝える場合、まずは直属の上司に申し出るのが一般的です。
まずは「今後のことでお話があるのですが、少しお時間をいただけないでしょうか」と、直属の上司に口頭でアポを取りましょう。
この時、直属の上司を飛び越えて他の人に話をするのはマナー違反。上司の機嫌を損ねてしまい、そのことが原因でトラブルに発展するなど、円満退職の妨げになりかねません。

例え直属の上司と折り合いが悪くとも、必ず順序を踏んで退職の申し出を行うことが大切です。
ポイント3.退職の1~3ヶ月前に退職の意思を伝える
退職の意思が固まったら、退職の意思を伝えることになります。引継ぎや会社や同僚への負担、挨拶などを考えると、遅くても退職日の1ヶ月以上前には伝えておきたいところです。
会社の就業規則でも、退職の意思表示は1ヶ月以上前と多くの企業で決められています。
法律上は、2週間前の申し出で問題ありませんが、会社側からすると「就業規則を守っていない!もっと余裕を持って伝えて欲しい」というのが本音でしょう。

急遽退職せざるを得ない状況であれば仕方ありませんが、できる限り1ヶ月以上の余裕を持って退職の意思を伝えるようにしてくださいね。
ポイント4.会社への不満は伝えない
「給与面の不満」「残業が多い」といった待遇面や、人間関係など会社に対するネガティブなものである場合も、それをストレートに伝えるのは避けた方が無難です。
ネガティブな理由を聞いた上司や会社側は、当然いい気分はしませんし、退職日まで気まずい雰囲気の中で過ごすことになってしまいます。
またネガティブな理由の場合、「不満要素を改善するから、もう少し頑張らないか」と、引き止めの理由を作ってしまうことにもなるので要注意です。

退職理由は「前向きかつ個人的なもの」にしておくのがベターです。周囲の人に納得してもらえるような退職理由を予め考えておくと、スムーズに伝えられますよ。
例えば「キャリアアップのため、より挑戦的な環境に身をおきたい」「新たな分野にチャレンジしたい」など、現職では実現できないことを理由に、固い意思を持って表明しましょう。
しっかりとした理由があることが伝われば、上司や会社側も納得せざるを得なくなります。
「退職届・退職願」について

会社によっては、退職の申し出の書類の様式が定められていることもあります。どのような形式で提出するのか就業規則を確認しておいてください。
自分で用紙を用意する場合は、「退職届」もしくは「退職願」を提出します。「退職届」と「退職願」では、意味合いが異なりますので、違いを理解した上で提出しましょう。
・退職願 → 会社に退職を「願い出る」書類
・退職届 → 退職が確定した後、退職を「届け出る」書類
会社側との合意に基づき円満に退職をしたい場合、直属の上司に会社を辞める旨を伝え承諾を得てから「退職届」を提出してください。
まだ退職の確認をとっていない場合は、まず「退職願」を提出し、会社から承諾をもらうと良いでしょう。
退職を拒否されたら、退職代行の利用を検討しよう
退職届を提出したり、退職の意思表示をしても退職を拒否されてしまうこともあります。強い引き止めにあってしまうと、つい「もう少し頑張ってみるか」「迷惑になるし今すぐには辞められない」など、気持ちが揺らいでしまいがちです。
きっぱりと辞められそうにない場合は、退職代行の利用もありです。退職代行はブラック企業勤めなど、簡単に辞められない人の退職も多数代行しているその道のプロ。信頼できるサービスを選べば、必ず退職に導いてくれます。
また未払いの残業代や賃金の不払い分など請求したいものがある場合、弁護士や労働組合に代行をお願いすれば、退職交渉をしてもらうことも可能です。
「パワハラ上司に退職を切り出しにくい」「なかなか退職を認めてもらえない」など、退職手続きに悩んでいる人は、相談は無料なので一度退職代行に相談してみることをおすすめします。

また退職代行はサービスごとに特徴があり、おすすめ転職エージェントやおすすめ転職サイトの紹介、転職活動のサポートをしてくれるところも存在。利用することで、現在より平均年収が上がることも珍しくありません。
退職を機に、退職代行の転職サポートを利用して収入アップを目指してみるのも良いですね。
退職を伝え会社を辞めるまで

退職の申し出をした後、会社を辞めるまでに注意しておきたいポイントをまとめてみました。
- ポイント1.同僚や関係者へ退職予定を伝え、引き継ぎをする
- ポイント2.会社からの貸与物を返却する
- ポイント3.最後まで誠意を持って仕事に取り組む
最後までポイントをしっかり押さえて無事退職日を迎えましょう。
ポイント1.同僚や関係者へ退職予定を伝え、引き継ぎをする
退職日が決定したら、同僚や社内外の仕事の関係者へ退職する旨を伝えましょう。そして後任者が決定したら、引き継ぎをしていきます。

引継ぎの際、慌ててしまわないように、マニュアル作成や各種データは、早めに用意しておきましょう。
ポイント2.会社へに貸与物を返却する
会社を辞める時は、会社から借りていたものを返却しなくてはなりません。返却物は企業ごとに異なりますが、具体的には以下のようなものになります。
【会社への返却物の例】
・社員証、社章、入館証など
・定期券
・その他書類、備品関係
・制服
・健康保険証
当日着用していた制服など、最後の出勤日までに返却できないものもあると思います。制服は後日クリーニングしてから会社に郵送しましょう。他にも返却するものがあれば、一緒に郵送すれば問題ありません。

保険証は退職日までは使えるので、病院にかかっていたりこれから利用する予定があれば、退職日を過ぎてからの返却でOKです。退職日を過ぎた保険証は使えないので、必ず返却するようにしてください。
ポイント3.最後まで誠意を持って仕事に取り組む
退職日が決定すると、気が緩んでしまうこともあるかと思います。
しかし適当に仕事をしてしまうと、トラブルを引き起こしてしまう恐れもありますし、「退職が決まったら、急に怠けるようになった」「態度が悪くなった」と、上司や同僚など周囲の人からの評価もガタ落ちです。

円満退職を叶えるためにも、最後まで誠意を持って業務に当たりましょう。
退職後にすること【転職先が決まっている場合】

退職後の手続きなどは、転職先が決まっている場合と決まっていない場合で異なります。
転職先が決まっている場合は、以下の4つの書類を転職先に提出します。
【新しい会社に提出するもの】
・雇用保険被保険証
・健康保険被保険者資格喪失証明書
・年金手帳
・源泉徴収票
雇用保険被保険者証は、雇用保険の手続きに使う書類です。健康保険被保険者資格喪失証明書は、健康保険の手続きに使用するもの。年金手帳は厚生年金の手続きの際に必要となります。
源泉徴収票は、本来その年の所得が確定してから受け取る書類です。しかし、退職する場合はその年に支払われる給与が確定しているので、年の途中の離職であっても源泉徴収票が発行されます。
退職後すぐに発行してくれる会社もありますが、秋頃に郵送する会社も多いようです。急ぎで必要な場合は、給与担当者にお願いしてみてください。

源泉徴収票は、年末調整で必要となります。受け取ったら新しい会社の人事や給与担当者に提出しましょう。
退職後にすること【転職先が決まっていない場合】
転職先や次の職場が決まっていなかったり、転職が決まっているものの入社まで時間が空く場合は、いくつか自分でやらなくてはならない手続きがあります。
- 失業給付(雇用保険基本手当)の申請
- 健康保険の手続き
- 国民年金への切り替え
- 12月31日まで就職先が決まらなければ、確定申告をする
それぞれのポイントを見ていきましょう。

次の職場が決まっていなくても焦ってはいけませんよ。しっかり求人情報を見て、給料体系や福利厚生を見て決めましょう。少しくらい費用がかかっても転職エージェントにお願いするのはいいかもしれません。以下で説明する失業保険なども受給しつつじっくり良い転職先を選びましょう。
失業保険(雇用保険基本手当)の申請
務めていた会社から離職票が発行されますので、離職票を持参して管轄のハローワーク で失業保険(雇用保険基本手当)の申請をします。
その前に離職票を受け取ったら、必ず内容に間違いがないか確認しましょう。離職票の内容は、失業保険の給付時期や給付期間、給付金額に関わります。
健康保険の手続き
会社で加入していた健康保険は、退職日の翌日から使用できなくなるため、早めに切り替えの手続きをすることが大切です。
退職した後の健康保険の選択肢は、主に以下の3つあります。
- 国民健康保険に切り替える
- 任意継続制度を利用する
- 家族の扶養に入る
それぞれ手続きが可能な期間が定められているので、忘れずに行いましょう。
国民健康保険に加入する場合は、退職日の翌日から14日以内に住所のある市区町村役場の窓口で申請してください。
在職時の健康保険に継続して加入する「任意継続健康保険」を利用することも可能です。任意継続健康保険は、最長2年まで利用できます。
ただし、保険料はこれまでの保険料の2倍になります。加入条件などが保険により異なりますので、会社を辞める前に確認しておきましょう。

配偶者など、家族の健康保険の被扶養者として加入したい場合は、家族の勤務先に「扶養に入れないか」問い合わせてみてください。
国民年金への切り替え

会社を辞めて転職先が決まっていなかったり、自営業を始める予定の方は、厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要です。
国民年金への切り替えは、住所のある市区町村の役所に年金手帳か基礎年金番号通知書を持参して行きます。手続きは退職の翌日から14日以内に行ってください。手続きができるのは、本人または世帯主のみです。
12月31日まで就職先が決まらなければ、確定申告をする
退職後に再就職先が決まっている場合は、新しい会社で年末調整が行われるので確定申告の必要はありません。
しかし退職後、再就職先が決まっていない場合は、年の途中まで働いていた分の源泉徴収税と給与から天引きされていた所得税の精算がされていません。
そのため確定申告をすることで、未精算の所得税が還付される可能性があります。

確定申告と聞くと難しく感じる方もいるかもしれませんが、国税庁の確定申告書等作成コーナーや確定申告用の専用ソフトなどを使えば、初めてでも簡単に作成することができますよ。
会社の辞め方まとめ

会社を辞めることをを決意して退職日を迎えるまで、退職後も様々な手続きを行うことになります。
円満に退職をするには、まずは自分の気持ちを整理して会社を辞める意思を固めておくことが重要です。退職を決心したら、早めに就業規則を確認し、退職に向けて余裕を持って動くことをおすすめします。
退職までのスケジュールを組んで、順を追って進めていくとスムーズです。「あれこれやることがあって大変」と感じられるかもしれませんが、スケジュール通りに行えば決して難しいものではありません。もし退職を切り出せない、在職を強要されるということでしたら、退職代行の利用も検討してみると良いでしょう。
ぜひ、今回ご紹介した情報を退職時の参考にしてみてくださいね。