「退職代行を使ってみたいけど、退職金をもらえなかったらどうしよう」
「退職代行を使って失業手当がもらないと困る」
「会社が退職金や失業手当の手続きをしてくれない時どうしたらいい?」
このような不安や疑問に答える記事です。
本記事を読むことで、次のようなことがわかります。
1.退職代行を使っても退職金や失業手当はもらえる?
2.退職金や失業保険を受け取れない場合の対処法
3.退職金や失業保険について交渉したい人におすすめの退職代行
退職金や失業保険をきちんともらって辞めたい人は、ぜひご覧ください。
退職代行を使っても退職金はもらえる?
まず最初に、退職代行を使っても退職金は受け取れるのか解説します。
会社に退職金制度がなければもらえない
基本的に、退職金を支払わなければならないという法律上の規定はなく、会社に退職金制度がなければ退職金は支払われません。
まずは会社の就業規則などを確認し、勤めている会社に退職金制度があるのか確認しておきましょう。
受け取る条件は、会社によって規定されている
会社に退職金制度がある場合は、労働基準法11条の「労働の対償」としての賃金に該当し、会社側は、労働者に退職金を支払う義務が生じます。
例え退職代行で辞めたとしても、法律上「退職代行で辞めたら退職金を支払わない」などの規定はありませんので、退職金は支払われます。
労働基準法 第11条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
労働基準法 第24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
<引用元:電子政府の総合窓口 e-Gov>
ただし、会社によって「欠勤した場合は減額する」「勤続3年から支給」など条件が定められていますので、支給される条件についても就業規則をチェックしておいてください。
失業手当について
次に退職代行を使っても、雇用保険の失業手当(失業給付)は受け取れるのか解説します。
雇用保険に加入し、条件を満たしていれば受給可能
会社で雇用保険に加入し、以下の条件を満たしていれば退職代行を使っても退職手当は受給できます。
1.「就職しようという意思があり、いつでも就職できる能力もあるが、職業に就くことができない」という、ハローワークが定める“失業の状態”である人
2.退職後すぐに就職する人、就職する意思がない人、ケガや病気、妊娠・出産等ですぐに就職できない人
3.離職の以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上ある
また、上記の条件に当てはまらない場合も、自分の意思に反する正当な理由がある場合は「特定理由離職者」に認定され、失業手当が支払われます。
特定理由離職者の範囲は次の通りです。
特定理由離職者の範囲
Ⅰ 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(上記「特定受給資格者の範囲」のIIの⑦及び⑧に該当する場合を除く。)(※)
(※)労働契約において、契約更新条項が「契約を更新する場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の 約まではない場合がこの基準に該当します。
Ⅱ 以下の正当な理由のある自己都合により離職した者(※)
① 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
② 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
③ 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
④ 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
⑤ 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
1) 結婚に伴う住所の変更
2) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
3) 事業所の通勤困難な地への移転
4) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
5) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
6) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
7) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
⑥ その他、上記「特定受給資格者の範囲」のIIの⑩に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者 の募集に応じて離職した者等
(※)給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る 定基準と同様に判断されます。
<引用:ハローワーク>
退職金や失業保険を受け取れない場合の対処法
万が一会社側が退職金を支払ってくれなかったり、失業手当を受け取るのに必要な離職票を発行してくれない場合の対処法をお伝えします。
【退職金】管轄の労働局や労働基準監督署に相談する
会社が退職金を支払ってくれない場合の相談先としては、厚生労働省の管轄の各都道府県の労働局の「総合労働相談コーナー」や、労働基準監督署があります。
ここでは、退職金に関する相談のほか、労働条件、セクハラやパワハラなど労働に関するあらゆる相談を受け付けています。
電話もしくは面接でも相談が受けられますので、相談してみると良いでしょう。
ただ、こういった公的期間に相談した場合、会社側に「このような状況があるので改善するように」という指導を行ってくれる可能性はありますが、具体的な解決策に向けて動いてくれないことも多いようです。
また、今日相談して翌日には対応してくれるといった、スピード感ある対応は期待できないと考えておいた方が良いでしょう。
【失業手当】ハローワークに相談する
会社が離職票を発行してくれない場合は、管轄のハローワークに相談すると良いでしょう。
ハローワークは、会社が離職票の発行をおこなったかの事実を確認した上で、会社に督促を行ってくれます。
離職票は郵送されてくることが多いですが、もしかすると会社がきちんと手続きを行なっているにも関わらず、配達されていないだけかもしれません。
発行されていることがわかったら、郵便局や運送会社への問い合わせをおすすめします。
早期に解決したい場合は、弁護士に依頼
退職金、失業手当どちらの場合も、早期の解決を望むなら弁護士に頼るのが1番です。
弁護士の提供している退職代行サービスもありますので、そういったサービスを利用しておけば、退職金や離職票の発行を請求できます。
弁護士でない民間の業者の場合は、基本的に弁護士が行うような交渉はできません。弁護士資格がないものが交渉や訴訟への対応をしてしまうと非弁行為になってしまいます。
思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、退職代行サービス選ぶは重要です。
退職金や失業手当について交渉したい人におすすめの退職代行
最後に退職金や失業手当への対応も可能な退職代行サービスを紹介します。
弁護士法人みやび
「弁護士法人みやび」は、弁護士が直接退職代行をするサービス。
そのため、未払い賃金の支払い請求や有給消化の交渉、損害賠償への対応など、オールマイティーに対応してもらえます。
料金は55,000円と一般的な相場よりは高めですが、ほかの弁護士のサービスよりは利用しやすい価格です。
また、退職に関する業務を全て任せられる安心感があります。
サービス運営会社名 | 弁護士法人みやび |
公式HP | こちら |
退職代行の運営期間 | 非公開 |
料金 | 一律 55,000円(雇用形態は問わない) |
支払い方法 | 銀行振込 |
追加料金の有無 | 回収額20%(残業代・退職金の請求等)を依頼する場合 |
退職できなかった場合の全額返金補償 | × |
相談回数 | 無制限 |
対応可能な日時 | 24時間対応 ※有人対応は平日土日10時-21時 |
相談方法 | ・Line ・メールフォーム |
弁護士(司法書士)または法律事務所が代行してくれるか | 〇 |
労働組合が代行してくれるか | × |
転職・再就職支援があるか | × |
SARABA
「SARABA」は、労働組合がサービスを運営していることで注目を集めた退職代行サービス。
一般的な退職代行では、あなたの代わりに会社と退職に関する交渉(未払いの賃金、有給消化など)を行うことはできません。
しかし、SARABAのような労働組合であれば、「団体交渉」が認められているので、会社との交渉が可能です。
コストを抑えて退職代行を利用したい人は、SARABAのような労働組合のサービスを利用するのもひとつの手です
サービス運営会社名 | 株式会社スムリエ(退職代行SARABAユニオン) |
公式HP | こちら |
退職代行の運営期間 | 2004年から |
料金 | 正社員・アルバイト共に27,000円 |
支払い方法 | 銀行振込、クレジットカード |
追加料金の有無 | なし |
退職できなかった場合の全額返金補償 | ◯ |
相談回数 | 無制限 |
対応可能な日時 | 24時間対応 ※有人対応も含む |
弁護士(司法書士)または法律事務所が代行してくれるか | × ※顧問弁護士あり |
労働組合が代行してくれるか | ◯ |
転職・再就職支援があるか | ◯ ※転職支援会社の紹介のみ |
まとめ
結論、退職代行を利用したからといって、「受け取れるはずの退職金や失業手当がもらえない」ということはありません。法律上、「退職代行で辞めた人には、退職金を支払わない」「失業手当を受給できない」という決まりはないからです。
もしも会社が退職金を支払ってくれない時は、労働局の「総合労働相談コーナー」や、労働基準監督署。失業手当の場合は、ハローワークに相談できます。
しかし、公的なサービスの場合、会社に指導や勧告をしてくれる可能性はありますが、対応が遅れることも多いので注意が必要です。
もし、早く問題解決したい場合や、会社とのトラブルが予想される場合は、弁護士や労働組合のサービスを利用すると良いでしょう。
ぜひ、今回紹介した情報を参考に、ご自分に合った退職代行サービスを選んでみてください。